今回は、トラリピを複数の通貨ペアで運用した場合に発生するメリットとデメリットを解説します。

リスク分散や資金効率の向上が期待できる一方、デメリットも存在します。

以下で解説していきます

複数通貨ペアを同時に運用するメリット

利益確定の分散

トラリピで得られる利益は、運用している通貨ペアの設定にもよりますが、為替相場の動きに大きく依存します。

複数の通貨ペアを同時に運用することで、各通貨ペアの値動きに対して以下のような相関関係が生まれます。

 

■ 【A】の通貨ペアは上昇

■ 【B】の通貨ペアは下落

■ 【C】の通貨ペアは変動なし

 

このような相関関係(通貨通貨ペアごとの値動きの違い)は、利益確定のタイミングに違いが現れます。

そのため、複数通貨ペアでの運用は、単一通貨ペアよりも必然的に利益確定の機会が増え、安定して利益を得られる可能性が高まるといえます。

「利益確定の分散」が期待できるということです。

 

 

含み損の分散

2つ目のメリットは「含み損の分散」です。

これが複数通貨ペアを同時に運用する最大のメリットとなります。

為替相場は“一定の価格帯を行き来しやすい(=レンジ相場)” という特性があり、長期運用を行うと必ず「下落して含み損が増えるフェーズ」と「上昇して利益が積み重なるフェーズ」を交互に繰り返すことになります。

先ほど説明した通り、通貨ペアごとの値動きには違いがあります。

「下落して含み損が増えるフェーズ」と「上昇して利益が積み重なるフェーズ」にある通貨ペアを同時に運用することで、含み損と利益の相殺が発生し、含み損の急激な上昇を抑えることができます。全通貨ペアの含み損の合計値が小さくなることも期待できます。

世界的な暴落時においても通貨ペアによって含み損が最大(ピーク)となるタイミングは、ずれるため、含み損の増加が緩やかになります。

為替相場の動きに絶対はありませんが、運用通貨ペアを増やせば増やすほど、分散効果が現れ、変動は少なくなります。

 

 

複数通貨ペアを同時に運用するデメリット

運用資金が増える

当然ですが、運用する通貨ペアを増やせば、必然的に注文数量も増えるため、運用に必要な資金は増えます。

運用資金とリスク設定はそのままで、通貨ペアを増やすことは可能ですが、その場合は、トラップの値幅を広げる(注文本数を減らす)などの設定の調整が必要になります。トラップの値幅を広げる(注文本数を減らす)と、トラリピが引っ掛からない(売買注文が実行されない)などの機会損失が発生し、資金効率が悪化する可能性があります。

複数通貨ペアでの運用は、先程の説明のとおり、リスク分散のメリットが大きいですが、それはあくまで自分の運用資金で許容できるリスク(ロスカットレート)管理ができていることが前提です。

複数通貨ペアでの運用は運用資金がある程度貯まってからにすることをおすすめします。

運用資金に余裕ができるまでは、単一通貨ペアの運用でも必要資金を約1/3に抑えることができる「ハーフ&ハーフ」設定を取り入れましょう!

 

関連記事:
『ハーフ&ハーフって何?』という人は以下の記事をご覧ください。仕組みや特徴を詳しく解説しています。

トラリピは「ハーフ&ハーフ」で運用するべき【資金効率向上テク】

 

 

ボラティリティが小さい通貨ペアがあると年利が下がる

FXでのボラティリティとは、通貨ペアの値動きの変動の大きさを表します。

■ボラティリティが高い=値動きの上下が大きい通貨ペア

■ボラティリティが低い=値動きの上下が少ない通貨ペア

トラリピは、設定したトラップ範囲でトレードを自動で繰り返すトレード手法です。

この手法の場合、ボラティリティが高い通貨ペアほどリピート回数が増え、利益の積み上げが多くなります。

逆にボラティリティが低い通貨ペアは、リピート回数が少なく、獲得できる利益も少なくなります。この場合、運用資金だけが大きく増加することとなり、結果的に年利が下がってしまいます。

複数通貨ペアを同時に運用する場合は、高い収益性が期待できるボラティリティの高い通貨ペアを選択して運用することが重要となります。

 

関連記事:

通貨ペア別のボラティリティは以下の記事をご覧ください。

FXのボラティリティとは?

 

 

複数通貨ペアを同時に運用する際の注意点

ここまで複数通貨ペアを同時に運用する場合のメリットとデメリットを解説してきました。

運用する通貨ペアを増やすことにより生じるデメリットは確かにありますが、どちらも重大なデメリットとはなりませんので、ご安心ください!

 

デメリットは大きな問題ではない
■「運用資金が増える」:自分の運用資金で許容できるリスク(ロスカットレート)管理を行なう、無理に通貨ペアを増やさない
■「ボラティリティが小さい通貨ペアがあると年利が下がる」:適切な通貨ペアを選定すれば、悪影響を最小限に抑えられる
得られるメリットの方がはるかに大きいため、トラリピを運用する際は「ハーフ&ハーフ」と合わせて取り入れたい戦略となります。

しかし、複数通貨ペアを同時に運用する際の注意点もありますので、解説していきます

 

 

相関性が弱い通貨ペアで運用する

複数の通貨ペアを同時に運用する際に最も重要視するべき項目は「通貨ペアの相関関係」です。

通貨ペアには、値動きが同じような動きをするものや逆の動きをするものがあり、相関性が強い通貨ペアは似たような値動きになりやすく、いくら通貨ペア数を増やしたとしても、通貨ペア分散の目的である

■利益確定の分散

■含み損の分散

を期待することが難しくなります。

そのため、運用する通貨ペアは漠然と決めるのではなく、過去の実績などからきちんと検証したうえで、相関性が弱い通貨ペアで運用していくことが重要となります。

 

関連記事:

通貨ペアごとの相関関係は以下の記事をご覧ください。

FXの相関関係とは?

 

 

口座内の資金管理が難しい

口座内の資金を複数の通貨で分散させるため、資金管理が複雑になります。

単一通貨ペアであれば、考慮すべきロスカットレートは『トラリピ運用資産表』で簡単に算出することができます。

一方で複数通貨ペアを運用している場合は、各々の通貨ペアのロスカットレートは、他の通貨の状況によって異なってくるため、把握することが困難となります。

例えば、A通貨ペア・B通貨ペアの2つの通貨ペアを同一口座内で運用する場合、A通貨のロスカットレートはB通貨の相場状況によって異なってきます。

つまりロスカットラインが動的であるため、頼りになるリスク管理指標は、証拠金維持率、実質レバレッジしかありません。

別の証券口座で運用を分けることも不可能ではありませんが、リピート系FXが可能な証券会社は限られていますし、都度運用資金を複数口座間で移動させるという手間が発生してしまいますので、個人的にあまりおすすめはできません。

 

トラリピ「複数通貨ペア運用」のまとめ

 

 

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